クツ入れの所へ来ると、朝倉が言った。
「 お待ち下さい 」
朝倉は、一つのクツ入れを、用心深く開けた。
どうやら、星野のクツ入れらしい。 時限爆弾でも仕掛けられてるんか? 物騒だな。
朝のお迎えと言い、朝倉の行動と言い・・ 何で、そんなに過敏になってるんだ・・・?
校内に、スパイか工作員でもいそうな雰囲気じゃないか・・・

何も異変が無いと判断した朝倉が、上履きを出す。
それを履いて、廊下を進んだ。
廊下で、すれ違う他の生徒たちは、朝倉と僕が歩いているのを見て皆、一瞬、引いた。
中には、朝倉に話し掛けて来る生徒もいたが、それも、かなり言葉を選んで話している。 鬼龍会は、この学校の者にとって特別な存在なのだろう。 僕にとっては、ヤンキーとさほど変わらないイメージなのだが・・・

3―Aの教室に着いた。
教室の入り口で、朝倉が、またお辞儀をしながら言った。
「 会頭。 風紀員局 局長の芹沢が、何人か、部員を会頭のクラスに入り込ませて護衛に当たります。 学年主任の先生には、話しが通っていますから、お気使いなく 」
・・・ナンじゃ、そら。
お前さんらの一言で、教師は言いなりかよ。 凄え発言力だな。 保護者会より強いん
じゃないのか?
局長の芹沢って・・・ 親衛隊の隊長みたいなヤツの事だろ?
怖え~女らしいじゃないか。 朝倉の直属部下、ってウワサだ。 聞いた事があるぞ。
しかし、何でそんなに身が危ないんだ? 仙道寺の傘下に加わるとかナンとかいう、
アレの関係か? 単なる、勢力争いだろ? こんな、CIAの証人保護プロジェクトみたいなコト、大げさなんじゃないか?
まあ、守ってくれるってのは助かるがな・・・