新総長 かすみからの、直々の初指令に、仙道寺の連中は沸き立った。
「 何と、かすみ総長が、自ら先頭に立って模擬店を出されるっ! お前ら、死ぬ気になって、何かやれっ! 」
部室で緊急集会を開いた神岡が、ゲキを飛ばす。
数人から、声が挙がった。
「 神岡代理! 自分、お好み焼きセット、持ってます! 区の保健所から、衛生許可ももらってます。 前に、テキヤのバイトしてました! お好み屋、イキますっ! 」
「 よしっ、許可するっ! テキトーに、頭数、抜いてけや! 」
「 御意っ! 」
他の者が提案した。
「 神岡代理! 自分、バンドやってます! 追っかけ全員を動員して、ギグやりますっ! 任して下さいっ! 」
「 よし、行けっ! モヒカン&スキンヘッド系は、イカンぞっ? 健全に、不良していなくてはダメだっ! 音の基準は、かすみ総長が、笑顔で聴き入られる水準だ! 選曲に力を入れろっ! 」
「 分かりました! 」
「 代理! 自分たちは、ヒップホップやってます! ラップなら、任せておいて下さい! 自信、あります! 」
「 自分で、自信あると言うヤツほど、くだらね~のが多い! 大丈夫か、お前ら? 和製英語発音、してんじゃねえだろうなっ? 」
「 却下します! 」
「 よし、次っ! 」
「 代理! 自分は、二メートルの竹馬に乗れます! 」
「 よしっ! ピエロの服着て、一日中、歩いとれ! 次っ! 」
「 自分は、腹話術が出来ますっ! 」
「 よし、採用っ! 」
「 自分は、一輪車の曲芸が出来ます! 」
「 よし、採用っ! 」
「 自分は、息が、三分間、止められます! 」
「 意味が分からんっ! 却下! 」
「 自分は、鼻からソバが食えますっ! 」
「 キモチ悪いっ! お前ら、奇人変人大集合じゃねえんだぞっ? マトモなのを、出せっ! 」
「 口から、火が吹けます! 」
「 消防法に引っ掛かるわ! 却下っ! ビックリ人間大集合じゃねえっ! 」
「 目ン玉が、真中に寄らせれます! 」
「 そんなモンで、客が喜ぶかっ! 小学生か、お前はっ! 」
「 まぶたを、ひっくり返せます! 」
「 眼科へ行け! 」