「 落ち着けよ、かすみ! 今、そばに誰かいるか? 健一とか・・・ 」
『 健一とは、さっき、駅で別れたの。 家に帰って、着替えようとしたら・・・ みちるになっちゃたのォ~・・・! 』
僕の声で、なよなよと喋らないで・・ キモチ悪いから。
かすみは続けた。
『 お母さん、あたしを見ても、ちっとも動じないのよ? まるであたし、昔からみちるだったような喋り方するの・・・! あたしのコト、 みちるって言うし・・・ 家の表札は、河合のままよ? 河合 みちるなの、あたし 』
さすがに、男性名で『 かすみ 』はおかしいと思ったのだろう。
名前だけを記憶操作したか・・・ 多少は、学習したな、サバラス。 名字を変えていないトコは、手抜きのように思えるが・・・?
僕は言った。
「 駅前の、『 パッパラパー 』 っていうゲーセン、知ってっか? 今、そこに星野といる。 来てくれ 」
『 ・・うん、分かった。 行く。 待っててね? そこに居てよ・・・? 』
キモチ悪ィ~・・!
星野の時は、星野自身が、男喋りだったから良かったが、かすみは、モロに女言葉を使う。 ゲイと喋っているみたいだ。 頼むから、内股で歩くなよ? 片腕に、ポーチなんぞ掛けて来たりして・・・

しばらく待っていると、かすみが来た。
可愛らしいポーチを持って・・・