・・・息が切れた!
随分、走ったが、連中は、まだ追って来るようだ。
「 コッチに行ったようです、神岡さん! 」
路地を隔てた向こう側から、声がする。
( ンもォう~、しつこいな! その労力を、もっと他に還元せえよ・・・! )
僕は、再び走り始めた。
少し、広い空間に出た。
とあるスナックの、裏口のようだ。 バスケットに入れられた、使用済みのおしぼりや、洋酒・ビールの空き瓶が置いてある。 そのまま向こうは、大通り。 右には、更に路地が続いている。
( どうする? 大通りに出ると、連中に見つかるかもしれん。 このまま、まだしばらく、路地裏を逃走した方が良さそうだな・・・ )
「 やあ、星川クン! 」
イキナリ、人形が出た・・・!
サングラスを、クイッと上げ、サバラスは言った。
「 鬼ごっこかね? 私も、混ぜてくれたまえ 」
ドコの世界に、こんなひっ迫した表情で鬼ごっこするヤツがいるってんだ? 情況を、見極めろっ! 今、お前と遊んでいるヒマは、無い! 人生の危機なのだ。 明日まで、消えてろ!
僕は無視し、右の路地へ入った。
「 のけものにちゃ、イヤイヤあぁ~ん! 」
僕の背中に負ぶさり、甘えた声を出すサバラス。
おっ・・ 重てええェ~っ! 降りろ、てめえ~っ! 小泣き爺か、てめえはっ!
僕は、走りながらサバラスを掴み降ろすと、切れた蛍光灯、数本が入ったポリバケツの中に放り込んだ。
グワシャーン、パリーン!!
ずっしりとした感じが、再び、肩に掛かる。
「 地球人の愛情表現は、過激でイカンのう~ 」
額に、割れた蛍光灯の破片を幾つも刺したサバラスが、僕の背中で言った。
・・・お前、ヒトの一大事をもて遊んで、さぞかし楽しいだろうな?