神岡が言った。
「 星川。 てめえは、オレの女にしてやろうかと思ったが、ハデにやり過ぎたな。 死んでもらうぞ 」
路地の両脇には、更に細い路地があった。 ここは、逃げるが勝ちだ・・・!
星野を見ると、向こうもその考えらしく、目が合った。
次の瞬間、僕は右の路地へ、星野は左の路地へ走り出す。
「 野郎っ! 逃がすか、追えっ! 」
置いてあったゴミ箱をひっくり返しながら、僕は走った。
「 待ちやがれ、星川ァッ! 」
そう言われて、はいそうですか、と待つボケがおるか! 全力疾走で、逃げたるわっ!
壁に吊るしてあったプランターや、隅に置いてあったビールケースなどをぶちまけ、僕は走った。
「 ・・うわ、痛っ! 」
「 どけッ、何してんだ! 」
後ろの方で、叫ぶ声がする。
チラッと振り返ると、神岡以下、4・5人が追って来る。 捕まったらアウトだ。 強姦され、殺される・・・! 男なのに、強姦されてたまるか! そんな思い出、絶対に要らんわ!
僕は、必死で走った。
幸い、路地は細く、網の目のように交差している。 僕は、そこいら中にあった、ありとあらゆるモノをカンペキにぶちまけ、路地を曲がり、行き止まりのフェンスを越え、必死に逃走した。