「 ・・・・・ 」
夢か幻か・・・ いや、現実のようだ。
実際、僕の体は、見た事も無い女性の体になっている。
僕は、しばらく呆然としていた。
( ・・・つまり、宇宙人の実験台にされたってコトか・・・? )
はっはっは! それは愉快! それでもって、原因不明のアクシデントにより、僕は、誰かと入れ替わってしまった、という事かい?
は~っ、はっはっはっ! ますますもって愉快、愉快・・・ なワケ、ねえだろっ! おい!
どうしてくれんだよっ? 責任とれよ、人形! 勝手に消えるな!
何とも、無責任な話しである。 しかも、宇宙人・・・?
・・・・・信じるしか、あるまい。
現実に今、僕は、女子高生の制服を着てるんだし・・・

下から母の声がした。
「 みちるぅ~! 来てんよ、あの兄ちゃん! 早く行きなっ 」
来たか、狂犬が。
仕方なく僕は、カバンを持ち、階段を下りると、玄関へ向かった。
母が新聞を小脇に抱え、僕に言う。
「 立ち話しするんじゃないよ? さっさと、駅に行きな 」
ううっ・・・ あまりに、冷たいお言葉。 母よ、アンタは僕の、この身の上に起きた悲しい事実を知らない・・・
ある意味、良かったね。
元に戻ったら、意味も無く仕返ししてあげるから、覚えておけよ・・・!
靴入れを開けると、ローファーの革靴があった。
僕の、お気に入りのエアロはドコへ行ったんだ? 高かったんだぞ、あれ。
仕方なく革靴を履き、玄関を出る。

「 おはよう御座います、姉御・・・ 」
門柱の所には、ヤセた顔に鋭い目つきをし、髪をオールバックにした、見るからに
ガラの悪そうな男が立っていた。
・・・何か、すっげ~、イヤな予感、するんだけど・・・?