そう言えばオレ… 「なーキエってば」 ん?! たまたま聞こえた声に、オレの耳が強く反応してしまい、声の主を慌てて探す。 その人は、案外すぐそばにいた。 しかもその隣には、 「稀衣ちゃん…?!」 ヤバい…咄嗟に隠れてしまった。 それにしても、あの隣の人誰だろう。 オレの知らない人だ。 お兄ちゃん? けど確か、稀衣ちゃんは一人っ子だったはず。 なんの話をしているんだろう? ここからじゃ聞こえない。 ――――その時。 「……え…」 思わず硬直してしまう。 彼女の、その表情(かお)に。