そんな顔させたいんじゃない。
そんな顔見たいんじゃない。
「…イヤだった?」
違うよ。
そうじゃない。
小さく首を振ると、ワンはあたしの隣にストンと座った。
「これ、着た方がいいよ」
そう言いながらあたしに渡したのは、自分のブレザー。
「…ありがと」
自分の方が薄着のくせに。
鼻少し赤くなってるくせに。
「…ゴメン」
「え…」
「キスがイヤだったんじゃなくて、あんなゲームの勢いでするのがイヤだった」
それでも、突き飛ばすことなかったよね。
誤解されて当然だし、ワンにも恥かかせちゃったし。
謝らなきゃいけないのは、あたしだ。

