「あーあ。こりゃまた派手にやっちゃったねぇ」
「あたし片付けるから、飯田くんは先に戻っててよ」
そう言うあたしなんてお構いなしに、飯田くんはしゃがんでボールを拾い出した。
「昼休みなくなるでしょ」
「鮎沢の昼休みだって、なくなるでしょ」
な…。
そうくるか。
「…ありがとう」
確かに、1人で拾い集めてたら、昼休みなんてない。
ここは、手伝ってもらうのが賢明だ。
そもそも飯田くんが、この現状をほっていくタイプとは思えないし。
「鮎沢も、こーいうおっちょこちょいするんだね」
「え?」
「いや、なんか隙なさそうだし。しっかりしてそうだから」
あたし、そんなイメージなのか。
「あたしだって、人間だから」
「違いないね」
以前ワンには、隙だらけだと言われた。
あたしに隙がなさそうに見えるのは、表面しか知らないからだ。
あたしには、あの犬が入る隙があるくらいだから。

