「この人とは、いつも一緒に帰ってるんだから、今日は七海と帰ろうよ!」
なんで知ってるんだろ。
いつも一緒に帰ってるって。
「七海、わがまま言うなって」
「いいよ」
ここは、あたしが。
「え?」
「ワン、七海ちゃんと帰ってあげて。あたしは大丈夫だし」
「稀衣ちゃん、でも…」
ここはあたしが、歳上なんだから。
「あたしとは、いつでも一緒に帰れるじゃない」
「ほら、七海と帰ろ!」
それにあたしは、幼馴染みでもない彼女なんだから。
「じゃ。また明日ね」
ワンと七海ちゃんを置いて、あたしは1人歩き出した。
ワンの顔は、怖くて見れなかった。
きっと納得してないと思うし。
だけど、一度一緒に帰れなかっただけだ。
そう、たったそれだけのこと。
付き合いたてのカップルじゃないんだから、そのくらいでギクシャクしたりなんかしない。

