滑りたくて、仕方ないんだ。



もちろんオレも!



「よっしゃ、滑るぞー!」

「張り切りすぎて、怪我すんなよ」



午前中のグループは、いつもの面子で組んでるから、稀衣ちゃんも一緒。



午後からは自由だから、もちろん一緒。



宿の部屋割りは、グループで固めてあるから、部屋は隣。



つまり、ずっと一緒!



こんな状況で、テンションが上がらない訳がないんだ。



もちろんボードだって、すっげー楽しみで来たんだけど。



「稀衣ちゃん、滑んないの?」

「え、うん」

「えぇーーー?!」



滑らないの?!



「なんで滑んないの?!」

「だってあたし、滑れないし」



滑れない?!



「そんなのオレが教える!」

「えぇ?」



雪山に来て滑らないなんて、もったいないにもほどがあるよ!