「離しなさい…！」
掴んで気付いた。
すっげー冷たい。
「ちょっと、聞いてるの？！」
「…手、なんでこんなに冷たいんだよ？」
「え？」
俺は手首を掴んだまま言った。
「氷じゃん」
「…冷え性なのよ」
「冷え性？」
女の人に多いって言う、あれ？
「温めてやるよ」
「だ、だから離しなさいって言っ…」
そう言う先生を無視して、俺は先生の手を掴んで自分のポケットに入れた。
「ちょっと何してるの？！」
「いーじゃん、温いし」
「よくないわよ(恥)」
「ふーん、先生もそんなに照れることあるんだ？」
「照れてなんかないわ」
「ははっ」
力がすっげー弱くて。
掴まれたら抵抗ひとつ出来なくて。
手首なんか、棒みたいで。
手は驚くほど冷たくて。
肩を並べると、思ってた以上に華奢で。
そんなこと、初めて知った。
そんなクリスマスも、悪くない。
