そんなふうに落ち込む必要は、どこにもないのに。



「くっそぉ…。思い出しただけで、ちょー悔しい」



ワンはそう言って、仰向けに寝転がってしまった。



「あたし、勝ってほしいだなんて、思ってなかったんだよ?」



一生懸命に戦ってくれた。



それだけでどれほど嬉しかったか。



きっと君は、分からないんだろう。



「結果なんて、関係ないんだよ」



大事なのは、そこじゃなくて。



ワンに、負けたことを悔やんでほしいんじゃなくて。



もう、十分なんだよ。



「だから、頑張ったご褒美…」



あたしは寝転んでいるワンに顔を近付け、唇を重ねた。



たいそう驚いたらしいワンの体に、一瞬力が入ったのが分かって、愛しかった。



“勝ったら”だなんて、そんな言い訳必要ない。




唇を離すと、ワンは起き上がって、



「エロい稀衣ちゃんだー」



って赤い顔で笑う。