なかなか意見がまとまらない。



机に肘をついて、話しの行く末を聞いていたあたしに、前の席にいた麗奈が耳打ちする。



「鮎沢ちゃん家ってさ、あるでしょ?」



…え゙?



「なにが?」



麗奈がこんな顔をするのは、なにかよくない事が起こる前触れだ。



「浴衣に決まってるじゃなーい」

「えぇ?」

「ワンが言ってた!稀衣ちゃん家は、超和風!ってね」



わ…ワン(汗)



「だから、男物の浴衣の1つや2つ…いや、10着くらいはあるんじゃないの?」



そーいうことか。



麗奈は始めから、あたしを当てにしてたのか。



「いや、あるかもしれないけど…」

「よし、みんな聞いた~?」



…え?



「鮎沢ちゃん、ありがとー」

「さすが鮎沢さん家だな」

「これで問題解決だね~」



ちょ、ちょっと待って?!



「じゃ、男子の浴衣は鮎沢ちゃんが持ってくるってことで決定、っと」



なんて勝手に決定?!