「あぁ!花火!」
そう言って麗奈は立ち上がる。
俺達が今いる場所からでも、花火は十分見えた。
――――“ドンドーンッ”
華やかに咲いては、闇に消えていく。
儚い打ち上げ花火。
その潔さが、俺とは正反対だと思った。
「純平ってさ」
麗奈は花火を見上げたまま、口を開いた。
「寄ってくる女は、好きにならないんだよ」
麗奈の言葉に驚き、言葉が出てこなかった。
「純平、いつまで鮎沢ちゃんを好きでいんのかな?」
やっぱり麗奈も、気付いてたか。
ワンでも知ってるくらいだし、当たり前といえば当たり前なのか。
多分気付いて(本気にして)ないのは、鮎沢くらいなんだろう。
「…お前は?」

