「…で、話し戻すけど、結局どーするんだよ?」
忘れかけていたが、俺達はぐれちゃてたんだ。
「この人の多さだし、見つかんないだろ」
「俺もそう思う」
それにもうすぐ花火の時間。
移動はかなり困難になる。
「…あのさ」
こんなにも周囲は騒がしいのに、なぜだか茜は、いつもの何倍も小さな声で言った。
「仕方ないから、見ようよ…花火」
「へ?」
――――“ドクン”
「だ、だから、あたしが一緒に花火見てやるって言ってるんだよ!」
――――“ドクン”
なんでそれだけ言うのに、照れてんだよコイツ。
「お前、他に言い方あるだろーよ」
「うるさい!じゃあいーよ、あたし1人で見るからさ」
赤くなった顔を隠すように茜は、俺に背を向けて歩き出そうとする。

