ピッタリ魔女の出番だったし、ちょうどいい。
「お嬢さん。このリンゴはとっても美味しいんだよ、おひと欠片いかがかな?」
そう言いながら、俺は結局割れてしまったリンゴの欠片を1つ拾い上げた。
割れたリンゴをあげる魔女って、怪しいにもほどがあるぜ。(←自分です)
「お、おひと欠片…?」
「残念だけど、このリンゴはとても珍しいんだ。でも君が、どうしてもと言うのならば、この小人と取っ替えしようじゃないか」
そう早口で言ってから、俺は床にのびてるマコをかつぎあげ、早々と退場。
「魔女のわりに力強くね?」
「落ちて割れたリンゴあげるって、どうなの?」
「でも魔女役の人、かっこよくない?」
「あの倒れてた小人さんも、可愛いかったねー」
客席からはいろいろな声が聞こえる。

