真っ赤な顔を見合わせていた郁也と茜が、人込みの中消えていった。
「オレはあの2人、お似合いだと思うのにな」
「そうだね」
ワンにしては鋭い。
あの2人は、いったいいつまであんなことを続ける気だろう。
郁也も郁也で、憎まれ口ばっかたたいてるし。
茜は本気で、気付いてなさそうだし。
他人が口出すことじゃないんだろうけどね。
――――“ドンっ”
!!
「あ、すいません…」
「いや、こちらこそ…って、先輩?!」
先輩…?
思いっ切りぶつかってしまい、相手の顔を確認する。
「あ、安藤」
なんだか久しぶりだ。
あの告白以来安藤は、あたしの前にあまり現れなくなったから。

