丸っこい目と、口角の少し上がった口元がよく似てる。
「アンタ、このチャンスを逃したらもうないよ?」
「もーほっとけよ!稀衣ちゃん、行こ!」
「え、ちょっ!?」
ワンはあたしの腕をつかみ、早足で部屋を出る。
「気をつけなよ~」
「あ、ありがとうございました…!」
「楽しんできなね」
「またお礼に伺います」
部屋のドアから顔だけ覗かせたワン母に頭を下げ、あたしはワンと外へ出た。
夕陽が西へ沈みかけている。
「行こっか!」
ワンはあたしの顔を見ることなくそう言った。
夜店が楽しみで仕方ないのか、なんだかウズウズしてるように思う。
お祭りとか、大好きそうだし。
あたしの手を引いて歩くワンの足取りが軽い。

