ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~

【kie※side】



隣で夕日を、「おいしそうだ」と笑うワン。



その笑顔が、夕日よりも眩しくて嬉しかった。



なにより大切で、私はもう失いたくない。



失うかもしれないと、初めてその大切さに気付く。



そうでもしないと気付かずにいた自分が、憎いとさえ思った。



「…あ、あの子」



さっきまで夕日を見ていたワンが、遠くを指差した。



つられるように、あたしも視線をそちらに向ける。



砂浜をこちらに向かって歩いて来る男の子と、その手を引くお母さんの姿があった。



もしかして…?



ワンの側まできた2人は、深く一礼する。



「先程は、息子を助けていただき、本当にありがとうございました…!」



お母さんの目には、うっすらと涙が見えた。