ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~

【makoto※side】



『あたしに行かせてよ』



そう言った彼女は、まだオレが見たことのない表情をしていた。



「ワン、始まるよ!」

「ウン…!」



本当はぶつかったオレが悪いのに、彼女の強い言葉になにも言えなかった。



そしていよいよ、オレ達の白雪姫が始まる。



「ガキがいっちょ前に、女の子の心配か?」



舞台袖で待機のオレに、純ちゃんがニヤニヤしながら近寄ってきた。



「…だって、オレんせいだ」

「バーカ。お前がチャンス作ったんだろ?

「チャンス?」

「鮎沢の壁、壊すんだろ?」



……え。



「…ウン。壊したい」

「ま、やるだけやってみれば?」

「ウン!」



そうだ。



このままじゃ駄目だと思ったから。



今はただ、待つしかない!