ここをリアルにする意味あんのかな。
そう思いながら、リンゴに手を伸ばした。
「おいマコっ、後ろ見ろって!」
「え…うわっ?!」
――――“ドンッ”
え…?!
「ちょ、何やってんのよアンタら!!」
「うわ、やっべー!」
下に落ちたリンゴは、みるも無様な状態に砕けた。
「ご、ごめん、大丈夫?」
こんな時にこの犬は、ぶつかったあたしの心配なんてしてる。
「どーすんの、もう本番だよ?!」
「この砕けたやつでやるしかないだろ(笑)」
「ちょっと佐倉、真面目に考えてよ!」
「リンゴの欠片だけ持って来る魔女が、どこにいるよ?」
「あのっ、オレ…!」
ワンが口を開いたのを、あたしは彼の服の裾を掴んで止めた。

