「(やば…からかいすぎた?)」
「(素直じゃないよね、鮎沢ちゃんも)」
「(いや、あれめっちゃ素直に怒ってるだろ)」
「(動物園って言ってたね)」
そんな空気にたえられなくなり、あたしは教室を出た。
だからいやなんだ。
学校なんて嫌い。
集団なんて居づらい場所。
うるさい周りもいや。
人間関係なんて、疲れるだけだ。
「…鮎沢さん!」
後ろからかけられた声に、足を止めて振り返る。
“ワン”だ。
「さっきの…」
「思ってることを、言っただけよ」
今までもこの先も、変わることない。
あたしには、無理だ。
「だって、動物園みたいじゃん。ギャーギャー騒いでバカみたい」
こんなノーテンキそうな人には、きっと分からない。
あたしとはなにもかもが真逆な、君になんて分からない。

