「…なんかさ、最近稀衣ちゃんが全然足んなくてさ。とにかく全身で触りたーいって、ウズウズしてた」
ストレートに言うワンがおかしくて、あたしは腕の中でクスッと笑う。
「こんなんじゃ、オレ足んない」
確かに前より会う時間が減ったのは事実。
同じ教室にいた頃とは、訳が違う。
「もっともっと、触れたかったんだ」
そう言ったワンの腕の力が、少しだけ強まったのが分かった。
ほんと、子供だよね。
「あたしも足んないよ」
あたしも、ワンも。
少し体を離してワンの顔を見てから、あたしは自分から唇を重ねた。
背伸びはいらない。
君はすぐそこにいてくれるから。

