多分安藤くんは、腹黒い一面を持っている。
ワンへの言動から、時々垣間見える。
「見てろよゴトー!!」
「安藤だよっ!!」
ワンは安藤くんにあっかんべーしながら、サッカーをしている小学生の方へかけていった。
高2男子が、あっかんべーは駄目でしょ。
あたしはすぐそばにあったベンチに腰掛けた。
すると安藤くんも、ストンとあたしの隣へ座る。
「ったく、何なんだあの人は…」
ハァっと息を吐きながら、呆れたように安藤くんは呟く。
「同じだね」
「え?」
「あたしも最初、そう思った」
ワンに出会った日。
なにコイツ、って思った。
犬がシッポ振ってるみたいに笑ってて。
確か中学生と間違えたっけ。
「見たまんまだよね」
「だから分からないんです。鮎沢先輩があの人にこだわる理由が」

