だってそうでしょ?
「じゃあさ、稀衣ちゃんが決めるんじゃん」
「何を?」
「主役には誰がいいか!」
あたしが?
なんでそんな…
「オレ、稀衣ちゃんの物語の中の主役になりたいっ」
「あたしの物語?」
いまいち理解できず聞き返すあたしに、ワンは笑顔で頷く。
あたしの物語の中に、もしもワンがいるなら。
それならきっと、間違いなくワンが主役だと言い切れる。
「だから、オレの物語のヒロインになってよ」
今度は真面目な顔で、あたしに手を差し出しながらそんなことを言う。
なんか…これって。
「…プロポーズしてる人みたいだよ、ワン」
だから少し照れ臭くなって、そんなことを言った。

