もう…なんでこーいう、ずるいことすんの。
唇を離したワンは、
「なんにも無しでなんて、帰さないよ」
……また。
また君は、大人びた顔をする。
その顔に、あたしがどれほど振り回されてるか。
きっと君は、気付いていない。
「オレ、ちゃんと主役やれてる?」
…さっきのこと、気にしてたのかな?
「…どーかな」
「えぇっ、主役変わるのはまずいよ!!」
「いーよ、それでも」
物語に、ヒロインとその相手役のヒーローが必要なら。
“誰か”がやればいい。
「あたしが、ヒロインじゃなくなればいいんだから」
「え…そーなの?」
「そうだよ」
ワンが主役じゃないのなら、あたしがヒロインをやる意味なんてない。(←役を放棄しないで)

