身長は162cmで、あたしと3cmしか変わらないのに。
持ってる力は、あたしよりはるかに大きい気さえする。
「なら明日、オレと一緒にすべる?」
「え…」
「少しだけなら、時間あるじゃん」
それは、あたしに教えてくれるってことだよね。
「いいの?」
「うんっ」
やっと、いつもの笑顔。
やっと見れた。
きっとゲレンデでは、もっとイキイキした顔してる。
………あ。
その時、ふいに思い出したのは女子大生のこと。
“また教えてよ~”
彼女達にも、明日教えてあげるんでしょ?
その笑顔で。
「やっぱ…いい」
「え?」
「ワンも疲れてると思うし、悪いよ」
あたしは表情を変えずに言った。

