???

「グギャーー!」
 ジークレが激しい奇声をあげた。

「な…何だ。…!」

「あざらしが生き返った!」

「誰かやられた見たいだぞ!」
 辺りは、再び騒然となる。



「主任!発砲許可を。あのあざらし、頭があんなに歪んで狂ってるんですよ!」
 若い警官が言った。

「よし、許可する。全員あざらしに向かって一斉射撃しろ!」
 主任の腕章を付けた警官が号令をかける。


 ダキューン、ダーン、ダダーン!

 ジークレに向かって、無数の銃弾が発射された。

「ガジュアー!」
 しかし、その一斉射撃はジークレには効かない。その銃弾の雨を浴びながら警官隊に突っ込んでくる。

「ギャアー!」
 また一人の警官が倒れた。

「駄目だ。た…退却しろ!」
 主任の号令が飛んだ。警官達は即座に退却する。


「狂ってる…」
 警官隊はジークレを遠巻きに取り囲む。何も打つ手は無かった。

 クンクン。ジークレが鼻をひくつかせた。

「ハ…ハラヘタ。」
 そして対岸の本牧埠頭を睨む。


 やがてその狂った野獣は重い体躯(たいく)を引きずるように、深く暗い海に消えて行った。