???

「ぎゃあー!」
 あつしが叫ぶ!

 それでもジークレはグルグル振り回す。傷口から滴る(したたる)血飛沫(ちしぶき)が警官の顔に飛び散った。

「貴様あーっ!」
 ダーンダーン!頭に血が昇り、警官は天に向かって威嚇(いかく)射撃をした。

「ウア?」
 ジークレが反応し、まるで玩具に飽きた子供のように、あつしを投げ捨てた。

 そして新しい玩具を見つけたかの如く、拳銃を構える警官の方に歩み寄る。

 ダーン!警官は再びジークレに拳銃をかざすと、迷う事なく引き金をひいた!

「イタ。」
 弾はジークレの右足に当たった。しかし肉にくいこむ事なくはじかれた。

「な…何で!当たったはずだろ?」
 警官の額に、気持ちの悪い汗が滴る。

 ダーンダーン!堪らず連射する!

「イタ。…ギサマ!」
 ジークレは警官目がけ走りだした。

 ガシッ。そして、左手で警官の襟首を掴む!

「ゴロス!!」
 ジークレの瞳が光る。右手を大きく振りかぶった!

「や…やめろ!」
 警官の顔から血の気が引く。


『やれやれ…俺の目の前で殺しはなしだろ。』周りの人垣の中の男が、右手に握ったパチンコ玉を指で弾いた!

 バスッ!それがジークレの右腕に突き刺さる!

「グワッ!」
 ジークレの右腕から血が滲む(にじむ)。堪らず警官を地面に投げ付けた。そして男を睨む。

 男は逆にジークレを睨み返した。

「スマネ。」
 ジークレが身震いし、瞳が元に戻った。


『まったく何してんだ俺は…』男は首を横に振る。


 男は帽子を深くかぶり、アロハシャツを羽織っている。首元には銀色のゴーグルがかけられていた。