「鈍子、今帰ったぞ。ヒー」
 鈍平の声が響いた。

「お父さんお帰り。お客さんが来てるわよ。スカー」
 その鈍平を鈍子が出迎えた。


 そうここは鈍平家。鈍平は仕事を終え、帰宅したのだ。

「お邪魔してますよ。」
 家の中では、きのこの様な頭の人物が待ち構えていた。

「Drシメジ!この地球に着いたでちゅか!」
 鈍平の後ろから、あの木網がコンビニのレジ袋片手に走りだし、シメジに寄り添った。

 乱宮も姿を見せる。

「だ…誰です。貴方。」
 訳が分からず、シメジが言った。シメジの黒ずんだ細い体から、大量の汗が流れ出る。極端な汗かきのようだ。

「僕ちゃんでしゅよ。」
 木網が帽子と服を脱ぎ捨てた。

 その姿は、紛れないキャミーであった。

 乱宮もサングラスと付け髭と首輪と服を脱ぐ。トランクだ。


「キ…キャミーですか、それにトランク!なぜにあのような姿を?」

「僕ちゃん働いてたでしゅよ。凄い、いい所みちゅけたでしゅよ。」
 キャミーが体をヒクヒク振って言った。

「…そうですか…その内、拝見させて貰いましょう。」
 シメジはキャミーを見つめ、大量の冷や汗をかいた。

「でちゅよね。」

「それとキャミー、この家の住民…“改造”したんですか?」
 シメジが鈍平を見据える。

「そうでちゅよ。僕ちゃん頑張ってやったでちゅ。」
 キャミーは両手を挙げ喜ぶ。



 そう。五日前のあの日、キャミー達は、鈍平親子を機械の体に改造していたのだ。自分達の下僕(しもべ)とする為に。

「キャミー貴方、改造へたですね。この家族、口から空気が漏れて、ヒーヒー音がしてますよ。」
 シメジの汗が止まらない。

「きゃきゃきゃ、芸術でちゅ。」
 キャミーが喜ぶ、ピョンピョン飛び跳ねた。