ヨッタと貴ボンも、朝礼に並んだ。

「貴ボン。何で休んでたんだよ。」
 ヨッタが貴ボンに囁いた。

「俺はあの後、悩んだ。はたしてこの頭で良いのか。そして悩んだ末、俺は“高野山”の“門徒”となった。“悟り”を開くためだ。」
 貴ボンが言った。

「何だよそれ。」

「座禅を組んで、二分。俺は一つの答えを“悟った”。」

「二分でギブアップね。それで?」

「京子の病を取り除いてやるのよ、俺の深い愛で、俺の“この頭”を見ても笑わないように。このミッションは、俺しか出来ねえ。」

「…貴ボンよ、それ“かつら”だよな。京子の病気治すなら、何でかぶってんの?」
 ヨッタは貴ボンの七三を見据える。

「これは…いきなりあの頭じゃあなぁ。」
 貴ボンが、はにかんだ。

「…それの下って、…“光ってる”の?」

「ああ、“ぴかぴか”だ。テレビで見たんだけど、ほかの奴らは復活してるんだってな。…俺の毛は、一向に生えないんだよ。」
 貴ボンの顔が紅潮(こうちょう)する。

『薄皮と共に、毛根まで抜かれたのか?無理矢理、ザーラ星人を引っ込抜いたから…』言葉の出ない、ヨッタ。


 ヒーーヒーー。口笛の様な音が響いた。

「なんだよ鈍平さん。今日の口笛は、下手だなあ。」
 千秋が呟く。