「あのさ、目的忘れて無いよね。それに事故なんか起こしたら、始末書じゃ済まないよ。」

「事故なんて起こさねーよ。“例の人物”を捜し出せばいいんだろ。分かってるって、奴がこの近くにいる事は間違いないんだ。」

「それに本部から気になる情報も入ってる。“トラトラトラ”が動きだしたって。」

 その一言で、ごんぞの顔に真剣味が籠もる(こもる)。

「…思ったより、動きが早いな。」

「あっちも本気って事じゃない?」

「流れ流れてこの星だからな…これで最後にして欲しいよな。それとこの“ナビ”も、何とかして欲しいよ。精度が悪すぎて、位置を特定するの大変だぜ。」

「仕方ないよ。ごんぞの稼ぎが悪いんだし、本部支給のナビだってこの程度だよ。」

「てめー言うに事欠いて、いけしゃーしゃーと。」
 ごんぞは助手席を睨(にら)む

「前…見て運転してね。でもあと十数キロ範囲には居るんだから、頑張ろうよ。」

「くそー暗くなる前に、当たりつけっぞ。」



 ハイラックスは更に加速する。まるで赤き弾丸のように。



「なあ“ポゴ”…例の奴の写真、もう一度見せてくれないか?」
 ごんぞが助手席に視線を送る。

「待って、えーと、これだ。はいごんぞ。」

 ごんぞはその写真を受け取ると目の前にかざした



「まったく、こんな金髪の変な奴が“太陽系第三惑星”にとって、五百年ぶりの“英雄”(ヒーロー)だとはね。」