「そいつをかぶれば、ザーラ星人から無視される筈。それはもう地毛じゃないんだから。“さっきの男”みたいにね。」

「ふうーん、将太郎さんみたくね。え?あれ…」

「とにかく、行動開始しようか。」

「分かったそうしよう。」
 そしてヨッタはあのカツラを装着した。




「あそこにザーラ星人が。」
 ヨッタが街中でたむろする三匹のザーラ星人に気付く。
「本当に、ばれないのかよ。」
 そして恐る恐る、近付いていく。

「キュー」
 ザーラ星人達はヨッタの顔を見るが、一向に動じる様子は無い。

「本当だ。」
 安心するヨッタ。改めて周りを見回す。


 驚く事にかなりの数のザーラ星人が街中を闊歩(かっぽ)していた。

 酒を呑む者・ユーフォーキャッチャーに興じる者・若い娘にからむ者・禿げたホームレスと意気投合する者、攻撃さえしなければ、ただの気の良いおっちゃんそのものだ。

 よく見るとその内の何匹かが同じ方向へと移動している。


「あいつら戻るみたいだよ。ついて行こう。」

「そうだな、行こう。」


 ザーラ星人の群れはルート16沿いまで移動した。驚くべき事に、彼らは、バス停に一列に並んでいるのだ。ヨッタもその行列に並んだ。


 暫らくすると一台の軽トラックが現われた。運転しているのもザーラ星人だ。ザーラ星人達は次々に荷台部分に、乗車していく。ヨッタも乗り込んだ。


 詰め込み過ぎと思える程のザーラ星人を乗せた、軽トラックは、ルート16を南下していく。やがてルート134にのると西に進路を取る。



 やがてある場所に辿り着いた。

 そこは、かぶら台と呼ばれる高台だった。