ヨッタは自宅に戻っていた。

「はあー、何なんだよハゲを見ると笑いだす病って。…こんなに、綺麗なのにな。」
 自分の部屋のベットで眠りにつく京子を眺め、ヨッタが呟く。

「…ヨッタ…任務、忘れてないよね。」
 思いに耽る(ふける)ヨッタにポゴが突っ込んだ。

「わ、分かってるって、それよりこの後どうすりゃいいんだ?貴ボンのアパート付近には奴ら、居なそうだし、どこにいけば。」

「まずは、行動でしょ。この場合。」
 ポゴがさらりと言った。その一言でヨッタの迷いが消えた。

「そうだな、行くか。」

「ヨッタ、ちゃんと準備だけはしてってね。何が起こるか分からないんだし。それと、お金は置いてって、奴らに取られないようにね。」

「おう、了解。」



 こうしてヨッタは、眠れる京子を残し、ザーラ星人を捜すため、部屋を飛び出した。



 一階の居間の部分では父親がテレビを見ていた。
「何だヨッタまた出掛けるのか。」
 父親がヨッタに気付き、声を掛けた。

「あっ親父、ちっと出てくるからさ。」

『危ねー。京子、連れてくる時じゃ無くてよかったよ。』ヨッタが帰ってきた時も、父親は起きていた。爆睡する京子を、担いで帰ってきた息子を見たらどう思うか…そう考えるヨッタの目に、テレビのニュースが飛び込んだ。


「わたしは今スタジアム前に居ます。今日この街で人を襲うあざらしが、沢山出没しました。あざらしは何故か男性の髪の毛を食べ、持ち金を全て奪うと言う話です。ここ中区以外でも被害が確認されています。あ!今後ろにあざらしが居ました!え?あっちからも、あ…え?あんなに沢山…うわっカメラマンがおそわれました…以上スタジアム前からでした!…大丈夫ですか、“邪武おじさーん”。うわ、…」


 ニュースに映る壮絶な現場。思わぬ所から、ヒントが舞い降りた。



「関内だ!」
 ヨッタは叫び家を飛び出す。

「ワンワン」
 くっきーが近付いて来た。

「くっきー。悪いがお前は、留守番だ。ザーラ星人から俺の家族守ってくれよ。あと貴ボンから京子もな。」
 言ってヨッタは走り出した。