「ぎゃーあ!ち…ち…

「ポゴだよ!」
 驚き声を上げるヨッタ。それを遮るようにポゴが叫んだ。

 ヨッタは余りの驚きで、後方のベットに背をあずけ、座り込んだ。

「な…何が起きたの。」
 涙目でごんぞとポゴを見回す。

「こいつが人工心臓なんだよ。」
 笑いを堪え、ごんぞが言った。

「よろしくね僕の名はポゴ。」
 ポゴもヨッタを見つめ言う。

「よ…よろしく。ヨッタだよ。…でも、心臓がどうして体から抜け出てくるんだよ。」
 ヨッタがポゴを見据えた。

「へへへ、僕は君の体の中なら、どこでも行き来出来るんだ。」

 言ってポゴは再びヨッタの胸の中に溶け込んだ。

「え?あ…ああ!」
 驚くヨッタ。ポゴはするすると、ヨッタの体の中をすり抜けていく。やがて右手がモコモコと波打ち、その姿を現わした。

「ね。こんな風に。」

「本当だ!?お前って、一体なんなんだよ。」

「僕は“人工心臓種族”なんだ。」
 ポゴが話しだした。

「そう。そして、そいつは他の生命体に寄生して、心臓の代わりとなる。」
 ごんぞが言った。

「本来なら、その時点で依代(よりしろ)となった生命体は二つの心臓を持つ事になるんだけど、君の場合は既に元々の心臓は動いてない。でも大丈夫。僕が寄生した事により、いずれ元の心臓も復活するからさ。」
 ポゴが言った。その話に、ヨッタの瞳に光が宿る。

「し…心臓を二つ持つ、それが英雄(ヒーロー)って事?」