ヨッタは夢を見ていた。

 四方を海で覆われた海中庭園を京子と二人歩く。

 色とりどりの魚達が二人を囲む。まるで竜宮城だ。



 あっ、竜宮の使いだ!綺麗だな。

 うおっ、座頭鯨(ざとうくじら)だ!すげぇでけぇ。


 …ハーゲア・ザーラ星人!うおお!

 京子逃げるぞ!?京子…誰だお前?


「とどめは、しっかりだ。」

 うわぁ!お前はあのチャカを持ったヤクザ!

 え?…か…体が重い、何だ…何か付いてる!?


 ぎゃあ…宇宙人!!!





「うおおおおお…」
 ヨッタが、飛び起きた。寝汗で気持ちが悪い。
 ヨッタは、ただっ広い白い空間に置かれたベットに寝そべっていた。上半身は裸であった。

「ハアハア、ゆ…夢か。あれ?確か俺、赤い車に轢(ひ)かれて…ははーん、それも夢か。」

「はっ、お気楽な奴だな。」

 不意に声が聞こえた。ヨッタは、その方向に視線を向けた。

 ごんぞだ。

「うわっ!ヤ…ヤクザ!」
 ヨッタはベットから飛び出した。

「おいおい、誰がヤクザだよ。」
 ごんぞは、パイプ椅子の様なものに前後逆に座り、両手を背もたれにあずけている。

「お前だよ、どっからどう見てもヤクザだろ!?」

「俺がか?今の状況、理解してる?」
 いたたまれずごんぞが訊ねた。

「わ…分かってるよ。ヤクザの宇宙人侵略だろ。暴力団新法で“シノギ”に困ったヤクザが宇宙進出したって言う。」
 ヨッタは堂々と言いのける。

「お前なぁ、どんな都市伝説だよ、そりゃあ…」
 ごんぞは呆れた視線を送る。

「ち…違うの?そうか全部夢か、とにかく俺、帰らせて貰うよ。えっと出口はっと、…」
 ヨッタは立ち上がり白い部屋の出口を探す。部屋じゅうに配する窓をなにげに見た。

 仄暗(ほのぐら)い宇宙空間に青々と輝く惑星が見える。

「うわー綺麗だな“地球”は…それより出口はっと。……!?」