「な…!風?」
 ジャスが身をひるがえす。

「きゃあー!」

「台風かよ?」
 人々は風に煽られ、身をよじる。

「あぐぁーぁぁ!」
 千秋が風で数メートル吹き飛ばされた。


 木々が薙(な)ぎ倒され、車が横倒しになる。それは“大型台風”並みの風威だ!

「こ…これは、空間移動(ワープ)風!!」
 ごんぞは右手で風を遮りながらも空を睨んだ。


「でかい!…母艦クラスだ…まさか?」
 宙に舞うジャスがグッと歯を噛み締めた。



 急に風が逆流した。それまで夏空に覆われていた空に雲が引き込まれ、辺りを影が包み込む。薙ぎ倒された木々や看板等が空に舞う。

 それらは、空に穿(うが)たれた空間に吸い込まれていく。


「先輩!…あの時と同じ…空に亀裂が!」
 紫織が空を指差した。
「な…何が起こるんだ。」
 貴ボンは紫織の身を押さえながら呟いた。


 ピカーッ!


 空が輝きを放つ。雲がかき消えた!