「ザイーテンだと?奴がこの地球に!」
 愕然とするごんぞ。

「奴の身柄が、何者かによって奪還(だっかん)されたのは知ってるな。」

「い…いや、知らんが…」

「パトロール本部から、連絡が入ってる筈だが…」

「ごんぞ、もしかして、さぼってたんじゃないのかい。」
 ポゴがごんぞを睨む。

 口籠(くちご)もるごんぞ。

「ははは、相変わらずだな。とにかく、護送中のザイーテンの身柄が、奪還された。その奪還者がデットーリーだったんだ。」

「だけど、あのザイーテンが易々とデットーリーの言いなりになるなんて…」

「奴の頭には、理性を消し去る装置が埋め込まれていた。一度俺が操作不能にしたが、また復活したのだろう。」
 ジャスが窓の外を睨む。

「討伐するのか。」
 ごんぞが、言った。

「ああ、無論そういう事だ。俺は先に行くぞ。」
 言ってジャスは退室して行った。


「俺達も行かなきゃ。…もしかしたら、そいつに京子が…」
 ヨッタが不安げに言った。

「…かもしれん。」
 ごんぞは腕を組み、何やら考え込む。

「だったら、尚更だろうよ。そのザイーテンて奴、犯罪者なんだろ!」
 ヨッタが叫ぶ。しかし、ごんぞは、下を向いたままだった。

「…何かあるのかい?」
 更に訊ねるヨッタ。


「ごんぞも、ジャスも議会(マジェスタ)側だからね。…罪人が必ずしも悪人とは、限らないんだよ。」
 ポゴが言った。