全てを、闇が覆っていた。日は沈み一切光の無い世界。


「まいったな、何で止まるんだよ。」
 ごんぞが頭を掻く(かく)。

「あいつ、死んだのかな。」

「まあ、このさい生死は問わずだ。“英雄”(ヒーロー)だし。」

「そうだね。じゃ連れていこうか。」
 そう言ってポゴはドアを開け、走りだす。

 まずくっきーの姿が目に入った。

「グルルル…」
 こちらは、かなりの傷を負っているものの、生命に別状は無いようだ。

 ごんぞも、気怠(けだる)そうに降りたつ。

 やがてポゴが、ヨッタの元に辿り着いた。そしてヨッタの胸元に耳をあてがう。

「ご…ごんぞ、動いてないよ、死んでる。」

「やっぱそうか、じゃ連れて帰ろう。」
 ごんぞが耳をほじくる。
「それがさ…勘違いみたいなんだよ。」
 ポゴがボソッと呟いた(つぶやいた)。

「は!何が?」

「違うんだ…」

「おい、ポゴ!何が違うって?」
 訳分からず、慌ててごんぞが近づいて来た。

 そしてヨッタの顔を覗き込む。

 あらいぐまの様な顔!つんつんの黒髪!写真に写った“奴”とはまるで違った。

「なんじゃこりゃー!!」
 ごんぞが両手で“野菜のへた”…いや、頭を掴み叫ぶ。

 ポゴは道に落ちているカツラを拾った。