???

「いいぞ貴ボン!」
 何出弥製作所に、地響きにも似た歓声が巻き起こる。

「ツ…ツヨイ!」
 ジークレは、肩で息急き切る。

「どうした、“たまちゃん”。もう終わりか?」
 貴ボンは右手を手前にかざし、ジークレを煽った。

『何だ?このあざらし。やべーよな、勝てんのかよ。』しかし、貴ボンの方も既にボロボロの状態だった。

「コロス!」
 ジークレが高く飛ぶ。そして頭の上で両手を組み、振りかぶる!

 ツー。不意に貴ボンの額から血が滴り、目に入った。

「うおー!やばいよ、見えねえー!」
 貴ボンがテンパった!

「バカメ!」
 大きく宙を飛ぶジークレ。
 そして組んだ両手を振り下ろす。貴ボンへの射程距離はほんの僅かだ。

 その顔に勝利を確信する笑みが浮かんだ。


 スパーッ!

 一筋の光明(こうみょう)が煌めいた!

 ベゴッ!ジークレの顔面が激しく潰れる!そしてそのまま吹き飛んだ!


「イェーイ!真打ち登場。」

「萌ー(もえー)!」

 人々の歓声が一際大きくなる。

「ナイス。紫織!」
 貴ボンが腕で血を拭いながら、言った。

「貴ボン先輩。余り無理は、しないで下さい。」
 それは紫織だった。

 紫織は貴ボンの側に寄り添う。その手には百虎刀が握られていた。