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「た…貴ボン!貴様には関係無ぇ。引っ込んでろ!」
 隼人はボロボロの体を必死に立て直す。

「隼人さん、気にするな。…将太郎さん、約束の金は隼人さんに渡してくれよ。それと、一課全員の治療費もな。」
 貴ボンが将太郎に頼んだ。

「あ…ああ。心配いんね。全部ひぎうげた。…無論、隼人さんの“わらしっ子”の治療費もな。」
 将太郎が、和やかな笑みを見せた。

「…す…すまねえ。」
 その言葉に隼人は男泣きに涙を流し、崩れ落ちた。


「やれやれ、しめっぽいのは好きじゃねえーよ。」
 貴ボンは目を閉じた。そしてカッと見開いた!

「元、第三プレス部一課。現、工場機械部三課。貴ボン!お前の首、いただく!」
 言って、雪駄(せった)を、後ろにぬぎ捨て裸足になる。そして、低姿勢のまま駆け出した。

「ハヤ!」
 ジークレは虚を衝かれ動けない。

 刹那、貴ボンのアッパーが、ジークレの顎を捕らえた。

 勢いで、仰け反るジークレ。

 しかしジークレは貴ボンの肩を掴み、倒れ込むのを阻止する。そして、反動を利用し貴ボンに頭付きを食らわす!

 だが貴ボンは倒れない!両足をグッと地につけ踏張った。

 額がパックリ開き大量の血が滴る。

「…やるじゃねーか。」
 言って、自分のシャツを脱ぎちぎり、サラシ姿になった。

「キカナイ?」
 ジークレは呆然と立ち尽くす。

 貴ボンはシャツで血を拭い捨てると、再び突進した!