不意に現れたハイラックスは、ヨッタ達の十数メートル先で激しいブレーキ音と共に停まった

「うおーびっくりした。何なんだよ」
 ヨッタ達は、ハイラックスをじっと見据える。いきなりの事に、唾液で汚れたカツラをかぶっている事さえ忘れさせた

 ガチャ、バタン、一人の男が降り立った。男は、ゆっくりとヨッタ達の元へと近づいて来る

 夕日に照らされ、男の姿が見えた。頭の異常にデカイ、スーツ姿の男。サングラスに鷲鼻、タラコ唇、更に印象的なのが、大きな頭に対し比率がまるで合わない、髪の毛だった

 ハイラックスのドアが再び開閉する音が響く。また誰か降りたようだ。

 ヨッタは、言い様の無い緊張感に包まれた。

「ほおー“ハーゲア・ザーラ星人”じゃねーか。」
 男はあのあざらしを見つめ言った

『ハ…ハーゲア・ザーラ星人?星人…って、宇宙人!?』狐につままれた感の否めぬヨッタ

「あんたがやったのか?流石(さすが)だね。でも、駄目だよ、とどめはしっかりだ」  

「い、いや…」
 ヨッタは、訳分からずテンパる。

 そんなヨッタを尻目に、男は懐(ふところ)から何かを出した。

『…チ…チャカ!』デザインは違えど、まさしくそれは、拳銃だった。

 男はあざらしに向かってその拳銃を向けると間髪入れず、引き金を引いた。

 弾は出なかった。しかし代わりに、怪しい光線が放たれた!

 数秒後、それを受けたあざらしの姿が、影形なく消えた

 ドクンドクン、ヨッタの心臓の鼓動が激しくなる『消えた……』

「ごんぞ、どうしたの?」
 もう一人の人物の姿も確認出来るようなった。

『こ…小人?』それは身の丈十五センチ程の、ピンク色のはだかの小人だった。頭部には、ハートマークのような、大きな突起が付いている。『宇宙人!?』恐怖に体が凍り付く!