「…ん?」
俺は目を覚ました。

「雅也!!」
紗英子がそこにいた。
「紗英子、大丈夫…」
体を起こそうとした俺の頭に激痛が走った。
「うっ」
「やだ、雅也、血!!」
右のこめかみの当たりから赤い筋が出来ていた。
さっき机の角に打ち付けたらしい。
「雅也、ごめんね、あ、あたしのせいで…」
紗英子がまたその大きな瞳に涙を溜めはじめた。
「なんで泣くんだよ、紗英子。紗英子は何も悪くないだろ」
俺は紗英子頭を撫でた。
紗英子はちょっとびっくりしたかんじに俺をみて、照れ臭そうにありがと、と言った。







辺りは、真夜中のように暗く、静まり返っていた。

クラスはさっきの地震でぐちゃぐちゃになっていた。
みんな少し怪我をした様子で、痛がったり、うろたえたりしている。





「どうゆうことだ、ゴルァ!」
水野が声を張り上げた。
驚いてみんなが水野をみた。


「圏外になってんぞ!」


そんなはずない、と携帯を開くと、
…たしかに圏外になっていた。
それに待受が、黒地の画面に白い数字の変なタイマーのような時計に変わっている。


「ふざけんじゃねーぞ!!」
水野は携帯を投げ飛ばした。







すると、
教室のスピーカーから、
カタカタと物音がした。



みんなは注意深く音を聞くために耳を澄ました。