外の様子がおかしい。
普段ならここから、
俺達の住む町並みや山や遠くの高層ビルが見えるはずなのに、
……なにも見えない。
夜だから、という問題ではない。
見渡しても、周りにあるのは、
どこまでも暗く、
どこまでも深い、
黒の闇である。
学校全体が、どこか異空間に来てしまったようなかんじがした。
…異空間に来た?
まさかさっきの大地震のような揺れ、
あれは学校が、
異空間に飛ばされるときの揺れだったのか。
だとしたら、
もう、
完全に引き返せない。
俺達の身体を悪寒が駆け巡った。
「雅也、大丈夫?」
とっくに俺に追いついた紗英子が俺を覗き込んで言った。
「ご、ごめん」
とにかく時間がないのだ。
俺達は先を急いだ。

