内田義昭(うちだよしあき)。


どこにでもいそうな、無口で暗めの男。
まわりと違っていたのは、
その並外れた脳だった。


成績は常に学年一位。
とくに理数系が得意分野の彼は、よく奇妙な機械を開発していた。
趣味は読書と勉強。
ただ、頭のいいだけの普通の少年だった…


…はずだった。




しかし、義昭の成績に嫉妬しはじめる奴らがでてくる。
主にクラスの番長的存在だった水野章人(みずのあきひと)、羽賀賢太(はがけんた)、坂口康介(さかぐちこうすけ)が中心だった。
それが、義昭いじめの始まりだった。




4月のテストの結果が出て以来、このいじめが始まった。
最初はからかいというようなかんじで深刻ではなかった。




しかし、ある日義昭は水野を殴ってしまう。
これが水野を完全にキレさせてしまった。
そこからいじめはエスカレートしていく。

義昭の机に生ゴミをぶちまけたり、下駄箱のなかに猫や鳥の死骸を入れたりした。
だが必ず義昭は先生が来る前までに、無言で片付け、何もなかったかのように、席に座って本を読んでいた。




クラスのみんなだって、いじめのことは気づいていたのだ。

でも、止めることはできなかった。


勿論、俺も含めて…。




水野たちの発言は絶対だった。

体格もいい水野にはむかえば、
次は、自分がいじめられると。


だから、だれも義昭のいじめは止めることは出来なかった。