(まさか…そんな!騙されたからって)

零都は、車で飛鳥の家へと向かった。
入ったばかりの頃、飛鳥が風邪をひいて給料を届けに行ったときがあるから、家は知っている。

「間に合え…!」

家に着き、ベルを鳴らす。

「ん~…誰ですかぁ?」

眠たそうに答える飛鳥に、零都が大声で言った。

「大変なんだ!美香が…。とにかく、開けろ!」

敬語も使わず、大声で叫ぶ零都にただならぬ雰囲気を感じて、飛鳥が飛び出して来た。

「美香ちゃんが、どうしたんです?」

零都は、中に入ると飛鳥とソファーに腰掛けた。

「抜け出したみたいです…。それが、行き先が…」

「どこなんですか?」

零都が、そっと息を吸った。

「飛鳥さん…なんです」

飛鳥は、目を見開く。