暗闇の中、少女が一人、泣いている。

ーー…美香。

「…つき…」

美香は、ボソッと呟いた。

「お姉ちゃんの嘘つきぃぃぃぃぃっ」

バーーーンッ

丈夫な壁が、崩れた。

大きな音に、見張りをしていた男が駆けつけた。

「何だ!?」

「お姉ちゃんは…お姉ちゃんはどこ…」

美香は、男にユラユラと近づいてきた。
周りには、真っ赤な光。

「ひ…っ!どうやって出てきた!!出れるわけもない…侵入者もいないのに!」

「…お姉ちゃんは…お姉ちゃんは…」

男は、記憶を辿る。
美香を連れてきたのは、飛鳥と零都。
ーー…飛鳥?

「ヤバい!日野さんが…」

バシュ…
何かが切れる音。