零都は、車の中でゆっくりと語った。

「昔、俺に力があることは分かっていたんです。善だったから、誰も止めず…むしろ、喜ばれた」

飛鳥は、黙ってそれを聞いた。

「弟が、劉斗が…力を発揮したのは、公園。猫にぬいぐるみを取られた劉斗が、猫を手も触れず殺した…」

劉斗(りゅうと)…。
神田劉斗君。

「でも、普段は違った。だから僕は…隠してたんです。ずっと。…でも」

飛鳥は、そっと零都を見た。
悲しげな、寂しさを宿した瞳。
いつもの余裕の笑みが見られない。

「パソコンでアイツらしき写真を見て…知りたかった。いや、信じたくなかった。アイツだってことが…劉斗だってことが」

零都は、それから苦笑した。