「はぁ、はぁ…ここ、は…サッカー部の、部室!?」


そう、私はサッカー部の部室に連れて来られていた。
彼がものすんごい早いスピードで走っていたせいで、息が続かない…


すると、

「そうだけど??」

と言いながら何食わぬ顔で近くにあったファッション雑誌を見つけ、それをパラパラとめくりながら優雅に椅子に座って読みはじめる、目の前の名無しの権兵衛君。



「な、何で、サッカー部の、部室!?」


「だって、俺、サッカー部だし。」


「え!?」


本当だ!!言われて彼の服装を見てみれば、サッカー部が着ているジャージを着ていた。



顔を見すぎて服装とか視界に入っていなかった…



「て、そんなことじゃなくて!!」



手をピシッと伸ばし、そのまま直角に何かを切ると、こいつ、大丈夫か?とでも言うような呆れた顔をして私を見ているイケ麺。


でも、私はそんな視線を送られていることさえも気付かない。

頭の中では、


何で私サッカー部の部室に連れて来られてんの?
しかも密室だし。
これってまずいんじゃないの?

え、もしかしてまずいんじゃないの!?
蜜柑ちゃん、人生の大ピンチ!?
あたしのバージンがー!!!!(以下略)




という方程式が出来上がっていたから。


とりあえず、今の状況は
まずいに越したことはなかった。